Railsに認証機能を提供するライブラリであるDeviceを利用している時に、認証の処理の前後に何か独自の処理を挟み込みたいときがあります。 例えば、
- ログインしたユーザーが初回のログインだった場合にメール通知したり
- ログインしたユーザーがBanされていた場合にはその旨を画面に表示する
といった場合があると思います。 それぞれは
- 認証後のタイミングを利用した場合
- 認証後の処理に応じてレスポンスを変えたい場合
です。
Deviseは認証処理を独自の認証にするなど拡張できるように作られています。 それを利用して、上記2つを実装することができます。 最近、これらを実装する機会があったので、ここではそれぞれでやってみた実装方法を書きます。
前提
この後に紹介する方法は、Deviseの認証を拡張できるように準備できていることが前提となっています。 拡張する方法については、READMEに記載されているので、そちらを参考に進めていきます。
認証用コントローラーの作成
railsのgeneratorコマンドを使って認証用のコントローラーを作成します。
rails generate devise:controllers users -c=sessions
これにより、app/controllers/users/sessions_controller.rbが作成されます。
このファイルを見ると、Devise::SessionsControllerを継承したUsers::SessionsControllerが
Devise::SessionsControllerは、Deviseがデフォルトで提供している認証処理を実装しています。
それを継承しているので、それらの処理をそのまま利用して、独自の処理を追加することができます。
ルーティングの設定
続いて、ここで作成したコントローラーを使うように、Deviseのルーティングで設定します。
config/routes.rbに以下のように記述します。
devise_for :users,
controllers: {
sessions: 'users/sessions' # <= 上で作成したコントローラを使うことを指定
}
ここまでで認証をカスタマイズする準備が完了です。
認証後のタイミングを取って処理をしたい場合
これはとても容易で、after_actionを利用することで実現できます。
class Users::SessionsController < Devise::SessionsController
after_action :something_process, only: :create
private
def something_process
# Do something
end
end
注意すべき点は、
after_actionで登録された処理は、指定されたアクションが正常に終了した場合にのみ呼ばれることrenderやredirect_toを使用しても変わらない
ということです。
単純に親クラスのメソッド(アクション)を実行する
これもシンプルで理解しやすい実装です。
class Users::SessionsController < Devise::SessionsController
def create
super
do_something
end
end
ここでうっかりrenderなどを使用してしまうと、DoubleRenderErrorが発生します。
これは、Devise::SessionsController#createが内部でrenderを実行しているためです。
もしレスポンスを変えたい場合は、この後に紹介する方法を取る必要があります。
認証後の処理に応じてレスポンスを変えたい場合
after_sign_in_path_forを利用する
after_sign_in_path_forをオーバーライドすることで、認証後に遷移するパスを指定することができる。
引数のresourceには、認証の対象となるモデル(例えばUser)のオブジェクトが渡される。
例えば、banされたユーザーの場合に別の画面へ遷移させたい場合、以下のように記述できる。
継承しているので、通常の場合の遷移先はsuperで取得することができる。
class Users::SessionsController < Devise::SessionsController
def after_sign_in_path_for(user)
user.banned? ? something_for_banned_user_path : super
end
end
この例で、更にbanされたユーザーに対して何か処理をしたい場合、このオーバーライドしたメソッドに記述することも可能です。 ですが、メソッド名からその処理を察するのが難しいため、読みやすいコードでは無くなると思います。
ブロックを利用する
Deviseのソースコードを見ていくと、Devise::SessionsControllerのアクションそれぞれが内部でyieldを使用していることがわかります。
そこで、これを利用して認証後の処理を追加します。
例えば、banされたユーザーと認証後にわかった場合、強制的にサインアウトし、エラーページを表示したい場合、いかのように記述することができます。
class Users::SessionsController < Devise::SessionsController
def create
super do |user|
if user.banned?
sign_out user
render 'banned_error_page'
break
end
end
end
end
ここで重要なのは、breakを呼ぶことで、呼び出し元のyieldを中断させることです。
Devise::SessionsController#createは、渡されたブロックを実行した後に、render(正確にはrespond_withを使用)してレスポンスを生成しています。
それより手前に、リダイレクト先などを指定し、breakにより中断することでDoubleRenderErrorを防いでいます。
おわりに
最近、Deviseをちょっとしたカスタマイズをしたくなることがあって、用途に合わせて試してみたものをまとめました。
似たようなことでも、実装手段が複数取れるように作られているのが良いですね。